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株式会社ココノッツ

君島邦雄のココノッツブログ

ココノッツ創立者であり現在は取締役会長の君島邦雄が
広報や医療に関する話題を中心に日常感じたことを勝手に書いています。

君島邦雄のココノッツブログ

ココノッツ創立者であり現在は取締役会長の君島邦雄が広報や医療に関する話題を中心に日常感じたことを勝手に書いています。

日米リリース事情

2009.09.16

外資系企業では、海外の本社で原稿を起こしたニュースリリースを翻訳して日本で発信する業務を頻繁に行っています。
医薬品や医療機器の分野に関して言えば、このような外国ネタに対するジャーナリズムの反応は一般に冷たいようです。やはり活きのよい日本のネタがの方がニュースバリューがある、というのが日本人記者の本音なのです。
だからといって、海外からの情報を日本で流さなくてよいということにはなりません。グローバル化が進んでいる今日、海外企業の動向は日本にも十分伝えられるべきだと思います。IRの面からもグローバルに情報を流すのは当然と言えます。
ところが、ちょっと困ったことがあります。欧米流のニュースリリースと日本のニュースリリースの書き方が違うのです。とくに米国は、企業発の情報がそのままストレートニュースとして地方新聞に掲載されることが多いようで、ニュースリリースをそのままコピペしても記事として通用するよう書かれています。日本の新聞社では、ニュースリリースはあくまで記事を書くための資料です。だから、日本のリリースはそのように書かれています。この違いが、英文のリリースを日本語に翻訳して発信するときに問題になります。どうにも違和感が生じてしまうのです。
一例を挙げれば、英文のリリースには、権威者のコメントが掲載されるケースが多い。たとえば、
「術直後の嫌気性菌性腹膜炎患者にとって、外科的治療は必ずしも最善の選択肢ではなく、当抗生剤による内科的化学療法が選択可能であることが証明されたことは医療界にとって大きな朗報です」と、ワシントン・リバーサエナイ病院医療センター感染症部長兼化学療法部長代理兼ICU部長で、ビクター大学医学部内科教授であり、NIHの臨時研究員でもあるブレイク・プアハンド先生は語っています。(内容は私の創作です)
こんなコメントをリリースに書き込んでも、日本の新聞に掲載されることはまずありません。記者自身の取材に基づかないコメントを掲載することなど、まともな日本の新聞は許しません。彼の地では著名でも日本では無名なドクターのコメントをそのまま受け入れる記者さんもまた100%いないでしょう。
日本で記事にしたいなら、徹底的に日本流のリリースに書き換えてしまう方がよいと私は考えています。しかし、逐語訳でないと許さない企業も少なくありません。それも理解できます。ちょっとしたニュアンスの違いで、NYSEに上場している本社の株価が大きく変動してしまう、というリスクもたしかに存在するからです。鳩山首相の論文の一部分が翻訳されて、米国メディアから批判された、と近頃話題になりましたが、それと同じようなことですね。
さて、どうしたものか。翻訳リリースの原稿直しを依頼されるたびに、悩みは深くなるばかりです。〈kimi〉

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