医療機器会社(医療テクノロジー企業)の広報において、プレスリリースをたくさん出しても取り上げてもらえない、と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
医療機器会社による広報活動は製薬業界と比較して、日本ではまだまだ控えめな傾向にあります。この背景には、家庭用製品を除く多くの医療機器が、患者さんと直接的な接点を持たない点があげられます。例えば、レントゲンやCTスキャンは広く知られていて、実際に目にしたことのある方も多いでしょう。しかし手術に使用されるメスや鉗子などの器具を患者さんが見る機会はほとんどありません。これらの機器は専門の医療従事者が扱うため、患者さんとの間には一定の距離が存在します。検査機器についても同様です。新型コロナウイルスで名前を聞くようになったPCR検査ですが、病院でも患者さんがPCR検査装置を、目にすることはほとんどないと思います。医療機器の性能や機能は、飛躍的に向上しています。しかし、そのことが「誰に」「どんな」メリットがあるのか、分かりにくいのです。これが医療機器の広報活動の課題となります。
現在、個別化医療が進んでおり、がん治療における検査や効果の確認など、医療機器の必要性は益々高まっています。健康管理や疾病予防においても、医療機器の役割は増大しており、医療DX、AI診断、遠隔診療など、旬なキーワードに関わる医療機器は多々あります。広報担当者の方はぜひ一度、社内を見回して、話題性の高いトピックがないか探してみてはいかがでしょうか。思いがけないテーマが見つかるかもしれません。また、記者向けに医療機器を導入した施設見学会など取材の機会を設け、普段は見られない施設や機器、検査装置を紹介するのもよいでしょう。
新しい治療選択肢を模索している患者さんとそのご家族、さらには広く社会に向けて、最先端の医療技術の情報を提供し社会への貢献を積極的にアピールすることで、医療機器メーカーの社会的認知度を向上させる効果が期待できます。またこのような活動は優秀な人材を採用する上でも、効果をもたらしていることが多くの実例で証明されています。