Q12
「記者がそのままデスクへ回せるように記事調に書け」と説く広報の先生がいます。 しかしどうでしょう。プレスリリースをコピペするようなズボラな記者がまともなメディアにいるでしょうか。また、記者の立場に立って考えてみますと、記事原稿を書くプロとして、素人が記事の真似をして書いた文章に好感を持てるでしょうか。
記事調のほかに、広告コピー調というのもあります。新商品のリリースを書いていると、参考にしているカタログや広告(多くの場合、リリースより広告や販促資料の方が先につくられていることが多い)などに引きずられて、つい広告コピー調になってしまう場合があります。新商品をどうしてもメディアに売り込みたい、と無意識にそうなってしまうこともあります。これにも注意が必要です。
記者には、その商品を買ってもらう必要はありません。それが消費者や顧客にとってどれほど価値があるのかを 記者に理解してもらって、ニュースとして報道してもらいたい、というのがプレスリリースの目的です。記者としては、広告宣伝のお先棒を担いでいるのではない、という自負がありますから、このようなリリースを読まされると、記事にしようという意欲に水をさされるかもしれません。
あなたが先輩から教わった書き方のよい点は、記事原稿としての基本要素、たとえば5W1Hとか結論を前に示し、重要度の高い内容から順に書く、などをしっかり押さえることができることです。ただ前述のように記者がそれをそのままデスクに回すことはなく、改めて書き直すでしょう。
実際には、広告のキャッチフレーズ風の見出しをつけた消費財のプレスリリースをよく見ます。決してお薦めしませんが、記者の目を惹きつけるタイトルや簡潔で新鮮な表現など、学ぶ点はあると思います。