Q8
1.読者が何に興味を持っているかを考える
社内報やPR誌に特有な点は、読者が固定されていることです。しかも、強制的なリピーターです。そのため、読者の興味を継続させるには工夫が必要ですが、多くの社内報は、読者(対象となる社員)が何に興味を持っているのか、どういう情報を得たいのかではなく、発行元(経営トップとか会社側) の言いたいことを、言いたいように書いてしまっているところに問題があります。商業誌でそんなことをしていたらすぐ廃刊に追い込まれてしまいます。 だから商業雑誌の編集者は、常にどうしたら読者にウケるだろうと考えていますが、社内報は廃刊の心配がないので、そのあたりが甘くなりがちです。
「社員の能力開発について考える」というテーマを立てたら、自らの能力を開発するために社員は会社に何を望んでいるのかをまず考えるべきでしょう。周囲の2~3人の社員に聞いてみるだけでも情報が得られます。会社(人事部など)の求めるものと、社員の求めるものとの間に食い違いがあったら、そこが企画のよい切り口になります。
どこでその違いが生まれたのか、どの程度違うのか、それを埋めるにはどうしたらいいのか、といったように考えを進めて行くと企画のアイデアが生まれるでしょう。
アンケートは、社員の求めるものを浮き上がらせるような設問設計を考えましょう。
一方、社内報にはアンケートという手法が多用され過ぎているような気もします。比較的安易な方法なのです。読み手の方は、よほど面白いアンケート結果(内容とまとめ方の両面で)でないと読んでくれません。社内報をじっくり読んで、後で厳しい論評をするのはたいてい社長さんとか人事部長といった方々です。彼らの方が真剣であるとも言えます。苦し紛れにアンケートに頼る社内報担当者の気持ち もよくわかるのですが・・・。
2.切り口は社外にもある
社内報というと、ニュースソースを社内にだけ求めがちになります。だから内容が平面的なるのです。ちょっと社外に出てみませんか?
たとえば国家資格がテーマでしたら、どちらの会社の人事部でも、国家資格取得セミナーとか通信教育などを社員に奨励、斡旋していると思います。そういう施策で成功しておられる他社の方に、その効果や社員の経験などをインタビューしてみるのも一つの方法でしょう。自社の人事部が書いた原稿より迫力や現実感が出るはずです。
3.よく売れている雑誌を参考にする
読者の側に立って考えてみると、社内報の競争相手は書店で売っている一般の雑誌やSNS、ネットニュースだということがわかります。よく売れている雑誌をいくつか買って来て、そこからアイデアを拝借するのもよい方法です。向こうはプロの編集者ですから、それなりによく考えられていますしアイデアの鋭さが違います。記事のタイトルの一部を、社内の問題に差し替えて考えてみたりすると、 新鮮な切り口が見つかることがありますよ。