ビジネスマンの狭い世界
2009.11.7
今日の産経新聞に、「広告主による番組評価」という記事が出ていました。大手企業や研究機関で組織する「優良放送番組推進会議」が投票による番組評価をしたら、視聴率ランキングとはずいぶん違った結果になった、という内容です。投票したのは参加企業の社員とのことです。
その記事によると、報道番組で最も票を集めたのは、テレビ東京系の「ワールドビジネスサテライト(WBS)」、以下NHK「クローズアップ現代」、同「週刊こどもニュース」、TBS系「サンデーモーニング」の順で、視聴率では一番の「NHKニュース7」は5位にとどまったそうです。
「広告の費用対効果について新たな物差しを広告主自身が生みだそうという試み」だそうですが、この順位はまさしくビジネスマンの尺度です。
ぜひこの発表の内容をWBSで取り上げてもらいたい、といった声を企業の幹部から聞くことがあります。ビジネスネタに特化したユニークな報道内容を評価してのことだとは思いますが、一方では、自分自身が毎晩見ている番組で取り上げてもらいたい、という気持も含まれているように推測します。
忙しいビジネスマンはどうしても帰りが遅くなるものです。とくにエリートは帰りが遅い。9時のNHK「ニュースウオッチ9」に間に合うかどうか。10時のテレビ朝日系「ニュースステーション」は好みの分かれるところ。となると、自然に11時からのWBSということになります。「NHKニュース7」への投票数が少なかったのは、評価が低いというよりも、見ることができないためでしょう。「週刊こどもニュース」も「サンデーモーニング」も土日の番組です。
ビジネス視点からの番組評価にも一定の意味は認めますが、それがすべてとは決して考えてほしくない、というのが私の気持です。
仕事をしないで数ヶ月家でブラブラしていたことがあります。そのとき住宅地を巡回する昼下がりのバスに乗って驚きました。乗客のほぼ全員がバス料金を支払わないのです。車内を見回したら、高齢者パスか障害者パスをお持ちの方々ばかり。そんな現実があることを、毎朝7時の電車で出勤し、昼間はビジネス街で行動し、8時過ぎの電車で帰ってくる生活をしていた私はまったく知りませんでした。
ビジネスマンは、自分たちが身を置く世界だけがすべてだと勘違いしがちです。しかし、それは本当に限られた、狭い狭い世界なのだということを認識する必要があります。〈kimi〉
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