築地の存在理由
2010.04.28
中央市場が豊洲に移転するのかしないのか、判然としないまま、築地はいま観光客や買い物客であふれかえっています。中国語、韓国語、英語、日本語、なんだかわからない語が飛び交っています。
中央市場の建物はたしかに古い。このままにはしておけそうにないことは素人目にもわかります。しかし、単に市場機能という観点だけで移転をすることがよいのかどうか。
観光客や一般の買い物客たちにとって、築地の魅力は場内、場外の商店街にあります。ここは魚屋さんや板前さんなどのプロの店でありながら、素人も利用できる。そこが普通の街とは異なる魅力です。飲食店も決して安くはないし、具体的にどこが違うのかよくわからぬものの、なんとなく築地独得の雰囲気を持っているような気がします。
とくに場外市場の雑然とした店の並び、迷路のような路地など、もはや他ではほとんど見られないものです。日本の繁華街は次々に再開発という名の整理が行われ、どこへ行っても同じようなチェーン店ばかりが並んでいます。そんな人工的な街にはもう飽き飽きです。もっと自然発生的な、もっと人間くさい、懐かしい街はないか。そんな条件を満たしているのが築地の場外商店街です。
中央市場が豊洲に移転しても場外はそのまま残ると看板が出ていました。しかし、場内と場外は一体です。卸売り市場というバックグランドを失った場外市場は、いまのような活性を失ってしまうのではないでしょうか。
東京に残る貴重な街を守りたいという意味で、私は移転に反対です。〈kimi〉