メディアの基準値
2011.07.27
これまでに聞いた「ただちに人体に影響するレベルではない」をすべて足し算すると、一体どういうことになるんでしょう。初めは高をくくっていたのですが、これほど「ただちにレベル」が累積すると、怪しい雲行きになって来ました。30年後には、日本人のがん発生率が顕著に上昇するのではないかと心配です。
そもそも次々発表される基準値というものを私は信頼しておりません。何を根拠に決められているのか、その点を疑っているからです。国際的な基準を参考にしていると言われても、前例はチェルノブイリくらいしかないのですから、どれほどの信頼性が担保されているのやら。
そのような「なんだかわからん基準値」を次々に発表する政府はもちろんですが、それをそのまま大本営発表のごとく報道しているマスメディアへの批判の声もこのところ高くなって来ました。
しかし、政府の公表基準値に代わるより適切な数値を読者に示すだけの取材力、検証力、知識、見識を新聞社や放送局が持っているとも思えません。メディアにできることと言えば、せいぜい批判的な学者のコメントをとってくるくらいことです。メディアには公的機関の発表以外の数値を報道することなどできっこないのです。それをすれば、その責任をメディアが負うことになるからです。メディア批判をしているのではありません。それがメディア、いやジャーナリズムというものだと申し上げたいのです。〈kimi〉