CCをつけない人
2011.12.12
電子メールが普及し始めてからすでに四半世紀は経っています。パソコンが苦手という中高年の方々でも、仕事をする以上はメールくらいは使えなければお話にならないというのが現在の状況です。
極めて日常的な通信手段となったメールですが、少々気になることがあります。それは、CCをつけない人がいる、それも少なからずおられるという事実です。
私が初めて「CC」の存在を知ったのは、外資系企業に就職したときでした。PCのない時代ですから、ビジネス文書は薄手の用紙に手書きかタイピングで作成されました。なぜ薄手かと言えば、Carbon Copyをとるためです。そして、社内連絡には必ず
CC : Mr. A. Yamamoto, Mr. T. Wright
などと、自分の直属上司と相手の直属上司へCCをつけることが求められました。コピーを回すのは、その人にも読んでもらいたい、あるいは読んでもらわなければならないからです。CCを受け取った人に意見があれば、その返信もまた同様にコピーが回されます。情報共有のためのすぐれた方法で、これが米国流です。メールのCCは、この米国流を踏襲しています。
当時の、いやいまでも多くの日本企業は稟議というシステムを使っています。これはコピーを配布するのではなく、電子化されていても基本は回覧です。あらかじめ会議で決定したり、根回しで了解されたことを記録として残すことが主目的で、稟議書の回覧は形式的なものになりがちです。稟議書に意見を付けられたり差し戻されたりすると、起案者にとっては減点対象の大事件になってしまいます。通常の事務連絡も原則は回覧で、ハンコがべたべた押されて戻って来ます。
そのような日本流ビジネス文書の伝統に親しんでいれば致し方ないとも言えるのですが、こちらからCCをつけてメールを送信したのに、その返信にCCをつけない人が少なくありません。「全員に返信」をクリックしていないのです。これは中高年に限りません。返信にCCを付けないということは、意図的にCCの対象者に返信を読ませないということです。そのような自覚もなく、単に「返信」ボタンを押しているだけ、というのはいささか困ったことです。〈kimi〉