諜報活動としての広報セミナー
2013.09.2
いまさら言うまでもなく、日本人は横並びが大好きです。企業で何か新しい提案をしたことのある人なら、「他社はどうなっているんだ?」という質問を受けた経験が必ずあるはず。
他社と異なることをやろうという意識は、開発部門やマーケティング部門などの一部に存在する(例外もたくさんあり)くらいのもので、広報部門は、どちらかと言えば横並びの傾向が強い部門ではないかと、睨んでおります。
広報セミナーなどの受講者も、そこで学んだことをもとに新しいアイデアを生み出そうとか、チャレンジしようとかするよりは、他社の成功事例を学んで自社に取り入れようという志向が強いように、長年講師を務めてきた経験からは感じられます。
あるセミナーに、大手電機部品メーカーの担当者が出席していました。広報セミナーにはほとんど顔を出すことのない企業ですし、かなりの年配とお見受けしたので、多少の違和感を覚えました。違和感のわけはすぐにわかりました。そのセミナーには、競合企業の広報担当者氏による講義が組み込まれていたのです。競合企業による講義が終わるやいなや、彼は次の講義を聞くことなく会場を退出して行きました。
広報の勉強をするためではなく、諜報活動のためにセミナーを受講した、ということなのでしょうか。その後間もなく、その企業は自社製品の瑕疵に起因する大きな出来事に直面することになりました。そこで諜報活動が役に立ったかどうかは、もちろん知るところではありません。〈kimi〉